…プロローグ…

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ザッ……、 『………とぉ』 暗い闇の中から、ノイズのはいった雑音が聞こえる・・・ ザザッ・・・・ ・・、 『ねぇ…リク・・・ば』 暗かった視界が所々、切れかけた蛍光灯の様にチカチカと灯いたり消えたりと、 髪の長い女が、こちらを見て、話しかけている映像を"画面"を揺らしながら繰り返す ザザッ・・・・・・ザ・・・ 今日はメモリ機能が正常ではないようだ、俺の元になった人間の思い出を見せつけよとしているのだろう あぁ、・・・ザッこのままこのデータが消えて終えば・・・ ザッ・・・壊れてしまえ・・・ 永遠の眠りにつきたい・・・ 『ねぇ!聞いてる!?』 突然、音と画面がクリアになり、正常に作動しはじめた ・・・チッ! 心の中で舌打ちをつく 「ああ、聞いてるよ」 『ウソ!聞いてなかった』 思い出の彼女は、頬を膨らまし睨みつける もう一人の思い出の中の俺は、そんな可愛い姿の彼女を見惚れ、きっと笑っている事だろう 「聞いてるって・・・ヤユが視たいって言っていた映画の事だろ」 手に持っていた映画チケットを弥由の目の前にかざす 彼女は、急に表情が徐々に明るい顔つきに変わる 「今週の日曜日でも行こう」 『うん!陸斗、約束ね』 そして、天使の様な無邪気な笑顔を俺に見せる 止めてくれ、見たくなどないんだ お願いだ もう、 もう止めてくれ・・・ 「『ユヤ、愛してるよ・・・』」
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