幻に導かれた再会

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「何か見つかったのかい?」 急に後ろから声をかけられ、振り向くとそこには新聞を片手に夫が立っていた。 「うん、桜が綺麗だなって思って」 とっさに嘘をつく。 さすがに初恋の『彼』の事を考えてました、とは言えない。 「そうだな、もうそんな時期か。まったく仕事をしていると、季節の変わり目が曖昧になって大変だよ」 「ふふ、お疲れ様です」 彼がおどけて言うので笑って答える。 ――うん、彼も久しぶりの休みだし、こういうのもいいかな? 「……ねぇ、久しぶりに一緒に歩かない?」
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