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電車は通り過ぎ、遮断機が上がる。
やはり、そこには誰もいなかった。
小さな『彼』も、懐かしい声もどこにもない。
「行かないのかい?」
彼は怪訝な顔をしている。
うん、と相槌をうち、歩き出す。
頭の中には未だに最後の言葉が響いてる。
あれはどういう意味なのだろう……
そんな想いに耽っていたからだろうか。
踏み切りの向こうに立っている男性に気付かなかったのは……
無意識のまま、すれ違う。
次の瞬間、
何故か、その男性はきっと……
いや、間違いなく貴樹君で、
振り返れば『彼』も振り返るとなんの確証もなく、そう感じた。
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