傷跡

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傷跡

自分の気持ちには 過敏すぎるほどで 他人には鈍感でいる ひたすらに 忘れたふりして 思い出そうともしない それでも 自分でいるのが嫌で 身体を切り裂いている 傷跡は教えてくれる 誰かを傷つけたことを 思い知らせてくれるんだ いつまでも 子どものままで 転んで泣いてばかりさ 誰ひとり 手を差しのべてくれない そうしてわたしは絶望を覚えた だから わかったふりするな 嘘で抱きしめないで 身体もこころも わたしは嘘で固められて また誰ひとりも救えない もうこれ以上 思い知らせないで 少しでも長く忘れさせて
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