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渚カヲル
君を待っていた
ずっとここで、ね
忘れたとは言わせない
「歌はいいねえ」
さわやかに放たれた
ぼくは反応に困ってしまう
曖昧に笑うぼくに
やさしくほほえみ返す
その笑顔を何というの――
初めての言葉
「好きってことさ」
誰にも言われたことがなかった
我に返る
裏切っていた君
信じられないぼく
あたたかな匂いが
たちこめてくる中
君はぼくの手の中で死んだ
ぼくは…ぼくは…
またひとりになった
さよなら、も言えずに
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