ノックアウト

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ノックアウト

寝すぎた朝 君は出かけていく わたしはひとり待つ   徐々に 気持ちが ざわついてくる   頭の中が ぐるぐると 渦を巻き出す   「具合悪い」 そうつぶやいて 簡単にノックアウト   ひとりでは 何もできやしない 出来損ないのわたし   早く夜が来るのを ひたすらひたすら 待ちつづけているだけ   どうか 今日の時間よ 早く過ぎておくれ   そんなことばかり ずっと願いつづけて 君が帰ってくる夜を待つ   毎日毎日 わたしは待っているだけ ひとりでいることに怯えながら   とてつもなく もったいない時間の使い方で 自分でももううんざりしている   でも 外に出れば 誰かの視線が恐怖になる   だから 君以外の誰にも 会いたくなんかない   そうやって 孤立していくだけ 本当は孤独が大嫌いなのに   いつかの日みたいに 誰かといっしょに笑って 楽しいと感じれるようになるのかな   気が遠くなる 普通にしていたことが 今ではもう困難になっているから   君にしか 頼らなくなって わたしの世界は縮んでいく   あの日の 太陽の日差しや空や雲は どんどん遠ざかっていく   気付けば 足元は泥沼状態で すっかり抜け出せない   死ぬまで ずっとこうして 毎日を無駄に過ごすのか   やりたいことも 何ひとつできないまま わたしは時間だけを食いつぶす
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