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流星群
おだやかで
とてもやさしい日々が
もうすぐ終わろうとしている
のんびりした
鈍行電車に乗り込み
初めて見る景色に胸躍った
奥へ行けば行くほど
いくつもの山が連なり
ずっしりとそこで構えていた
向かった先は
本当に山のてっぺんで
険しい道を通り抜けていった
そこは
他とは違う雰囲気を纏い
流れる時が止まっているよう
訪問者に対し
何ひとつ文句を言わず
両手を広げ抱きしめられた
そして
夜になれば見たこともない
たくさん星々を披露してくれた
いつもは
見えない星々が
一面に撒き散らされていた
思わず
表情がゆるみ
星々にうっとりしてしまう
誰が頼まずとも
最高のもてなしを
散りばめてくれていた
しかし
そんな日々は
本当にあっという間で
今日は
さよならを
言って去る日
もっと
ここにいたいけれど
時間は残酷なものだった
さあ
現実へと
帰っていこう
手を引かれ
どんどん遠くなっていく
また会える日を想うしかなくて
いつか
また来れるだろうか
てっぺんまで行けるだろうか
さよならは
言わないでおく
きっといつかまた行くから
その時まで
ずっとあの世界が
変わらずにありますように
嗚呼
この願い事も
あの流星に願えばよかった
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