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「うわ~、綺麗…」
橋本結衣(ハシモトユイ)は真っ赤に染まった空を見上げ、呟いた。
蒲公英は道端から顔を出し、気持ち良さそうに日光を浴びている。その横を幼き少女が駆けていく。
肌寒い風が髪をなびかせた。その風に身震いしつつも中谷功太(ナカタニコウタ)はポケットに手を無造作に突っ込み、言う。
「うわぁ、綺麗だね」
「もう本当に思ってる!?」
「本当だよ! でも早く帰ってゲームしたいな~」
結衣は若干赤みを帯びた頬をぷくーと膨らませる。
「もう……コウちゃんってばいつもそればっか!」
駆け足で功太を置いていく。
功太は白い吐息を吐きながら、猛然と追いかけていく。
「怒るなよッ!ほら、手出して」
それでも横を向いて歩く結衣の左手を掴み、右手できつく握りしめる。功太は繋がった手を右ポケットに入れ、笑顔を見せた。
「あったかいでしょ?」
「……うん」
春先の温かな日差しは、二人をそっと包んでいる。
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