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「ダメだ」
ジークは少年の最後の意思すら、否定する。
「言っただろう。お前は俺の暇つぶしだ」
その声は少年に届かない。
「お前は逃がさない」
少年が残した最後の希望は、その願いを叶えはしなかった。
何処へとも分からず、帰らなくてはと願ったのに。
その夜は少年が連れてこられたのと同じ、酷い嵐だった。
ジークの館では召使いたちが忙しげに働いていた。
最後の希望を失った少年は、召使いによって身なりを整えられ、大広間の横にある、控えの間にいた。
再び声を失って。
けれど、誰も気にすることはなかった。館では、少年が壊れているのは周知の事実だったからだ。
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