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夜も更けて、窓の外の嵐も最高潮に強まった。
館を包む闇が濃さを増したのを感じつつ、ジークは側に控えていた召使いに合図を出した。その途端音楽が止まった。
パーティーを楽しんでいたものたちは、ゆっくりと視線を大広間の一段高くなった場所に目を向ける。
酷薄な笑みを浮かべる主人と、新たな同胞となる人間に。
「これより、新たな眷属を迎えるための儀式を行う」
ジークの声が朗々と響く。
「尚、新たな眷属となる者は人間であるため、後ほど我が魔力を与え、魔族へと変化させる」
その言葉に、どよめきが起こる。
それと同時に、ジークを讃える声も。
本来、種族を変化させることは膨大な力を必要とするためにできない。
それが可能であるということは、ジークが相当な力を有する証拠とも言えるのだ。
召使いたちは、力のある主人に仕えることのできた幸運を再確認した。
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