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眷属を迎える儀式自体は簡単なものだった。
ジークの一族に代々伝わる、一族と眷属の名簿に新たに少年の名前を書き加えるだけ。
…けれど、少年の名前はすでに失われていた。
少年の名は、新たに主人であるジークが付た。
『レン』と。
少年に付けられた名前を聞いて、年配の召使いの何名かが顔をしかめた。
ジークはそれを知っていながら、皮肉な笑みを浮かべ無視した。
「おめでとうございます、ジーク様、レン様」
儀式の終了と共に、今夜の主役のもとに魔族が殺到した。
次々に祝いの言葉をかけつつ、『レン』に観察するような視線を向ける。
名前を付けられた生き人形は、ピクリとも動かなかった。
それを嘲笑うもの、不快そうに眉をしかめるもの。ジークを心配そうに見つめるもの。
魔族たちの反応はジークを楽しませた。
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