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祝いの言葉をかけるために集まった魔族たちが、再びパーティーを楽しむために散っていった。
ジークは『レン』を連れて静かに会場を後にした。
ジークが部屋に戻ってしばらくして、侍従長が訪ねて来た。
「何用だ」
「お疲れのところ、申し訳ございません。レン様をお迎えに参りました」
自力で動かない『レン』に気を使ったのだろう。
「必要ない。これは今日から俺の部屋に置く」
思いがけないジークの言葉に、侍従長が驚き表情を浮かべる。が、それは一瞬で消え去った。
「かしこまりました」
「明朝これの着替えを持ってこい」
「はい。では失礼します」
侍従長が去り、部屋には二人だけが残された。
「レン」
『レン』をベッドに運びながらジークが話す。
「明日の夜、お前は魔族になる。そうなればお前はもう、簡単に冥界へ逃れることもできなくなる」
そう告げてジークは『レン』をその腕に抱いて眠りについた。
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