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「……ん……みさん!」
遠くから聞こえる声が耳に響く。まだこの空気に触れていたい、でも声は段々と近付いてきて──
「天海さん!」
その声と同時に脳天からズンッというとても重い衝撃襲う。
瞼を開いて目を擦りながら周囲を見渡す。皆が此方を見ながら含み笑い、そしてスーツ姿の先生が仁王立ちしている。
──だんだん状況が把握出来てきた。
ここは教室で今は古典の授業で目の前に立つ人は立花先生。
クスクスと聞こえる含み笑い、立花先生が握る新説歴史図鑑(総ページ数560ページ)。
授業中に居眠りしてしまった私はコレで強制的に覚醒させられてしまったらしい。
眉間をピクピクさせながら笑う立花、苦笑いをなんとか浮かべ絞り出す謝罪の言葉。
「ご、ごめんなさい」
以後気を付けるように!と一言残して教卓に戻る。何にせよ驚いた。
いつの間に眠ってしまったんだろう?昨日夜中3時までラノベ読んでいたのが原因だろうか?というかそれ以外考えられない。
そんなこんなで授業終了のチャイムが鳴り響き委員長が号令を放つ。立ち上がり一礼そして着席。
先生が教室を退室したのを見計らい隣に座る委員長様に恨みの声を上げる。
「ちょっと真紀ー!起こしてくれてもいいじゃん!」
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