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開いた距離、羽に気をとられる鬼、お陰で状況は完全に見えた。
【変上】しているのはあの右手、それは鬼の魂があの体にリンクしているから、でも完全に鬼になってはいない。
何故?簡単だ、あの体に本来いた人の魂がそれを拒絶しているから、だから右手だけ鬼に【変上】しているという奇怪な現象を産み出しているんだ。
つまる所、人の魂はまだ鬼に取り込まれてはいない、すなわち!鬼さえ破壊すれば救出は可能!なら私がするべき事とは!
左足を後ろに引き構える。それに気付いた鬼が右手を夕姫向けて突き穿った。空気を裂く鋭い爪、一直線に心の臓を目掛け伸びる。
その動きを見切り腕をギリギリまで引き付け握った拳で下から空へと振り上げる。
その様子に歓喜する鬼、当たり前だ、華奢な女が無駄な足掻きをする。そんな拳でどうにかできるものではない。鬼は勝利を確信した。
だが信じられない事が起きた。その体からは信じられぬ大きな力により腕の軌道が上空へ変えられてしまった。
一瞬呆気にとられる鬼、その一瞬の隙を夕姫は逃さない!疾走し踏み込み手を伸ばしたのは鬼の胸、そこに手のひらを当てる。
「その体から出ていきなさい!鬼は外!」
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