第二話 ━胎動━

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 体を巡る気の流れ、そして魂に宿る霊力を右手に集め螺旋状に組合わせ一気に撃ち放つ! 激しい螺旋は嵐の如く、鬼の体へと当てた右手、そこへ強烈な衝撃が襲う。 踏ん張る事が出来なかった鬼はそのまま数メートル後方へと吹き飛んだ。  何が起きたのかわからないと言った鬼、ただわかるのはあの華奢な女に何かされたという事実だけ。 起き上がり女を睨む。だがそこには…… 「天照ス陽【アマテラス・ヨウ】!」  目を閉じ右手を鬼に向け立つ夕姫その足元より全てを照し慈しむ太陽に似た強き輝きを放つ光が溢れ出す。 その眩しさに鬼はとうとう腕で光を遮る。左手の人差し指と中指その二本を右手の掌へ重ね印を切る夕姫。 「有るべき所へ!【解】!」  溢れた光は全てを覆い、そして闇を映すそれは何かの影。そしてそのシルエットをもねじ曲げそして掻き消してしまう。 しかし術者によりこの世の絶対法則と呼ばれる方程式、【相反の現】と呼ばれる現象。 今この場は光のみ存在、だがそんな存在は形成し続ける事はない。  光が弾ける、世界全てに亀裂が入りやがて真実の姿を現す。そう、全ては元の裏路地へと……ただ夕姫と倒れた元鬼の元人間を残して。
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