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──猟奇事件から三週間が過ぎようとしていた。
既に警察は捜査を打ち切りこのまま行けば数年もしない内に忘れられた事件となるだろう。
私はそう思っている。しかし、結局の所何も解決してはいない、何故なら本当の犯人は解らず仕舞い、更にあの日以降ピタリと浮遊の増加が激減したのだ。
これは一体どういう事だろうか?何もわからない、ただ確実に何かが始まっている、そんな予感を含んだ気配だけ感じていた。
放課後、私はいつもの帰り道を急いでいた、何が違う訳でもない普通の帰り道、ふと家の近くまで来たときに家の方から何かの波動を感じた。
私の知らない何かの力、陰陽道でも風水でもない奇怪な波動。不意に足が早くなり家路へと急いだ。
そして屋敷の前に立つと……
「……何よこれ……」
夕姫は我が目を疑う、天海の家には結界が貼られており、外敵なら確実に内に通さない仕組みを有していた筈なのに……
屋敷の玄関、巨大な木製の扉は破壊され木っ端微塵に吹き飛んでいた、更に結界。
既にその効力は無く、既に破壊されたと考えて否はないだろう。
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