🍀百日紅🍀

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「ちょっと、いいかしら?」   そう呼ばれて振り返ると、声の主は社員の御幸(みゆき)さんだった。 営業時間もとうに過ぎて、店内に残る従業員もまばらになった二十二時十五分。 御幸さんはまだエプロンの紐をしっかり結んだままだった。 「どうしたんですか?まだ帰らないんですか?」   呼び止められた意図を気にも留めずに私は御幸さんへ質問を返した。 「え、あぁ、うん。そうね・・・・・・」   御幸さんは俯いた顔を前で組んだ指先へ落として、それから言葉を濁した。
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