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「違うの、そうじゃなくて」
躊躇ったのは私の方だった。
御幸さんは恋人の何を伝えようとして、言葉を噛んでいるのだろう。
「志賀くん、平塚店の関谷さんと随分、その・・・・・・親しいらしいのよ」
何を言われているのかはすぐに分かった。
今度は私の方が御幸さんの視線から逃げた。
つまりこれは、忠告。
違う、告げ口だ。
「・・・・・・関谷さんって、社員の・・・結婚されてますよね?」
「えぇ、でも、平塚店ではもう公認の仲らしいわよ」
噂なんかじゃない。
御幸さんの言葉に曖昧さなどどこにもなかった。
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