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途中まで言いかけて、今更羞恥が込みあげてきたのか…アカネは、下唇を噛み締める。
…なのに、ツカサは…
「何だよ。
途中まで言ったンなら、ちゃんと最後まで言えよ」
「あ、う。
…それと、『可愛い』って…言ってくれるし、」
だって、ホントに好きだもん。
ユズルくんは、初めての彼氏。
ユイは、『初めてだから盲目になっているだけ』…って言ってたけど。
でも、好きだもん。
「…なら、」
「え?」
「お前のこと『可愛い』って言えば、アカネはオレを好きになるのかよ?」
「…え…」
腕を引かれ、路地裏の壁に押しつけられたかと思うと…
重なりそうな、距離。
「、ツカサ?!」
「…!」
アカネの首筋に見えた、『紅い痕』。
ふつふつと、腹の中で煮えたぎる…『ナニか』。
気づいたら、
「、ひゃ…っ」
「…」
その『痕』の隣に、…『もう一つの』…
ゆっくりと…離れていく唇。
痛くて、恥ずかしくて、
…苦しい。
「、ツカサ…?」
こんな、…こんな気持ち、知らない。
「…ごめん」
「!
ツカサ!」
謝罪の言葉を機に、素早く踵(きびす)を返すツカサ。
それを引き止めるべく、アカネは彼の服袖を掴んだのだが、…
「!
…あ?」
「へ?
どうしたの?」
「ッバカ、見んな!!」
「、え」
不意、視界が何か大きいモノで覆われる。
視覚が奪われた中で、ツカサの声が、いやに響いて…。
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