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「ちょっと、やめてよ!
何も見えな…、」
チャリン…ッ…
「!
あ…っ!」
「、おい!」
聴覚を刺激した、甲高い金属音。
そして、左薬指の違和感。
間違いない。
…ツカサの手を振り払った際に、外れてしまったのだ。
『ユズルくんからのプレゼント』…。
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『はい、アカネ。
誕生日おめでとう』
『わぁっ!
ありがとう、ユズルくん…っ。
開けてもいい?』
『もちろん』
あたしの、17回目の誕生日。
それは、ユズルくんの家で迎えることになった。
ユズルくんからの『プレゼント』。
何もかもが、小さい頃から夢見ていたもので…。
『わぁ、指輪っ?
…可愛い…』
『気に入ってくれたみたいでよかったよ。
…貸して?
はめてあげるよ』
『…あ…』
促されるがまま、ユズルの手に指輪を乗せて。
掬われた左の薬指に、それははめられる…。
『…ふふ。
ブカブカだよ?』
『わ、本当だ。
…ごめんね』
『ううんっ、いいの!
…ホントにありがとう、ユズルくん。
あたし、大事にするね!』
『…うん』
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だから、絶対になくしちゃダメなの。
…絶対に…
コツン、
「きゃ…っ。
なぁにィ?」
「あ、ごめんなさ…、」
コンクリートを転がる指輪は、誰かの靴にぶつかり、その回転を止める。
謝罪を紡ごうと顔を上げた、その先には…
「…え?」
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