01・浅倉 アカネの場合

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「ちょっと、やめてよ! 何も見えな…、」 チャリン…ッ… 「! あ…っ!」 「、おい!」 聴覚を刺激した、甲高い金属音。 そして、左薬指の違和感。 間違いない。 …ツカサの手を振り払った際に、外れてしまったのだ。 『ユズルくんからのプレゼント』…。 ---------- 『はい、アカネ。 誕生日おめでとう』 『わぁっ! ありがとう、ユズルくん…っ。 開けてもいい?』 『もちろん』 あたしの、17回目の誕生日。 それは、ユズルくんの家で迎えることになった。 ユズルくんからの『プレゼント』。 何もかもが、小さい頃から夢見ていたもので…。 『わぁ、指輪っ? …可愛い…』 『気に入ってくれたみたいでよかったよ。 …貸して? はめてあげるよ』 『…あ…』 促されるがまま、ユズルの手に指輪を乗せて。 掬われた左の薬指に、それははめられる…。 『…ふふ。 ブカブカだよ?』 『わ、本当だ。 …ごめんね』 『ううんっ、いいの! …ホントにありがとう、ユズルくん。 あたし、大事にするね!』 『…うん』 ---------- だから、絶対になくしちゃダメなの。 …絶対に… コツン、 「きゃ…っ。 なぁにィ?」 「あ、ごめんなさ…、」 コンクリートを転がる指輪は、誰かの靴にぶつかり、その回転を止める。 謝罪を紡ごうと顔を上げた、その先には… 「…え?」
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