196人が本棚に入れています
本棚に追加
「ッアカネ!
早く離れ、…」
「ダメ!
ダメ、なの…っ!
ユズルくんが、初めてくれたプレゼントなんだから!!」
「!!」
あたしのために用意されたモノじゃなかったとしても、
…それでも、
ユズルくんがくれたプレゼントだから…!
ポツ、…
頬に当たる、冷たい雫。
…雨、だ。
「…クソ。
そんな指輪、いくらでもくれてやるよ。
どーせ、もういらないモノなんだからな。
…だが、もう二度と俺に関わるなよ。
わかったな?!」
遠くで、『冷たぁ~い』と、声がする。
あの女の人の声。
早足で遠ざかっていく、二人分の足音。
雨音。
…そして、私に近づく、一つの足音。
頭に乗せられた、大きな手…。
「あ、はは。
…フラれちゃったぁ…。
ツカサには、カッコ悪いトコ見せちゃったね。
私のこと、『遊び』…だって。
…私は、本気だった…のにな」
この声が、ツカサに届いているかは…わからない。
それでも…この雨音に声がかき消されることを、無意識のうちに祈ってる…。
「私は、本気だったもん…!!」
いつもみたいに、『バカだ』って罵って。
じゃないと、
「…知ってるよ」
…溢れてしまう。
「っ…わぁぁあああッ…!」
お願い、雨音。
この涙も、声も、…全部隠して…。
----------
「…どうしたの?
アカネ。
目が真っ赤よ?」
「ホントですぅ…大丈夫ですか?
アカネちゃん」
最初のコメントを投稿しよう!