01・浅倉 アカネの場合

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「ッアカネ! 早く離れ、…」 「ダメ! ダメ、なの…っ! ユズルくんが、初めてくれたプレゼントなんだから!!」 「!!」 あたしのために用意されたモノじゃなかったとしても、 …それでも、 ユズルくんがくれたプレゼントだから…! ポツ、… 頬に当たる、冷たい雫。 …雨、だ。 「…クソ。 そんな指輪、いくらでもくれてやるよ。 どーせ、もういらないモノなんだからな。 …だが、もう二度と俺に関わるなよ。 わかったな?!」 遠くで、『冷たぁ~い』と、声がする。 あの女の人の声。 早足で遠ざかっていく、二人分の足音。 雨音。 …そして、私に近づく、一つの足音。 頭に乗せられた、大きな手…。 「あ、はは。 …フラれちゃったぁ…。 ツカサには、カッコ悪いトコ見せちゃったね。 私のこと、『遊び』…だって。 …私は、本気だった…のにな」 この声が、ツカサに届いているかは…わからない。 それでも…この雨音に声がかき消されることを、無意識のうちに祈ってる…。 「私は、本気だったもん…!!」 いつもみたいに、『バカだ』って罵って。 じゃないと、 「…知ってるよ」 …溢れてしまう。 「っ…わぁぁあああッ…!」 お願い、雨音。 この涙も、声も、…全部隠して…。 ---------- 「…どうしたの? アカネ。 目が真っ赤よ?」 「ホントですぅ…大丈夫ですか? アカネちゃん」
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