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「うん、へーきへーきっ!
…あのね…」
昨日あったこと…あたしは、二人に包み隠さず全部話した。
…こんな風に明るく話せたのは、きっと…ツカサのお陰。
あの後、降りしきる雨の中…何時間も何時間も、傍にいてくれたツカサ。
…ツカサは、昔からそうだった。
あたしが何かイタズラして、お母さんに怒られて…庭で泣いていたとき。
隣の家に住んでいるツカサは、窓から『バーカ』って言ったあと…わざわざ家から出て来て、あたしの傍にいてくれた。
『…ツカサは、昔から変わんないなぁ…』
あたしは、きっとツカサのそういうトコを…、
『…え?』
そういうトコを、…『何』?
プルル、プルル…
「ひゃっ!
び、ビックリしたぁ…」
「あら、ツカサの携帯みたいね。
本人は?」
「ツカサくんなら、職員室に呼ばれていましたです」
「そう。
じゃあ、あたしが出ちゃいましょ」
「「えぇっ?!」」
真顔で、今にも通話ボタンを押してしまいそうなユイを引き止めるべく、アカネとカレンは、その腕にしがみついて。
「ちょっ…何よ!
しょうがないじゃない、まだ電話鳴ってるんだもの。
ツカサはここにいないって教えてあげなきゃカワイソウじゃな、…い……?」
「?
ユイ?」
不意、途切れた言葉。
何事かと確かめるべく、視線を上へ移動させると…。
「ねぇ、アカネ。
この子知り合い?」
「え?
誰?
なんて名前?」
「『中村サヤカ』って子」
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