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一つ一つ丁寧に、返事を携帯に打ち込むアカネ。
その表情は、かなりのマヌケ面だ。
「あーもうっ、メールで返事なんてまどろっこしい!
ユイ、カレン、あたしちょっと電話してくるね!
先生来ちゃったら、適当に言い訳しといてっ!」
「はいはい。
いってらっしゃいな」
「あ、あの、ユイちゃん…
ツカサくん、こっち睨んでますぅ…」
ユイの手を振る動作に見送られるがまま、アカネは『発信ボタン』を押して、そのまま廊下に向かって走っていく。
愛しの『ユズルくん』に、電話をかけるために…。
「…おい、鷺沼」
「何かしら。
眉間に皺なんて寄せちゃって」
「…ホント嫌味ったらしい女だよなぁ、お前って」
「お褒めにあずかり光栄ね」
…あわわ…
お二人の間に、火花が散ってるですぅ…。
「…まだ別れてねェのかよ、アイツ」
「そりゃ、そうでしょ。
あの子は『ユズルくん』にぞっこんなんだから」
「、う」
「心配なら、アカネに直接言えばいいじゃない。
『あんな男じゃなくて、オレと付き合ってくれ』…って」
ユイの揶揄に、ツカサの頬は…一瞬にして紅潮する。
…高二にもなって初々しいというか、何というか…。
「かっ、かかか、揶揄うなよなっ!
お…オレはッ、別に、アカネのことなんて…っ」
「…『アカネのことなんて』?」
その追い打ちに耐えかねてか…ボンッ、と、ツカサの頭から、羞恥の固まりがはじけるような音がした気がした。
「…ツカサ…、?」
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