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「…ばっ…」
「…『ば』?」
「バーカッッ!!」
そう言葉を吐き捨て、顔を茹でダコのように真っ赤に染めながら、ツカサは勢い良く教室の外へ飛び出して行った。
「『バーカ』って…
今どき小学生でも使わないわよ、そんな捨て台詞」
「ですねぇ…」
…不意。
カレンの表情が、神妙めいたものとなる。
「…でも、大丈夫でしょうかぁ…アカネちゃん。
やっぱり、『ユズルくん』に騙されてるんじゃ…」
「…しょうがないじゃない、あの子が私たちの話を聞かないんだもの。
…でも…」
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「うん、…うん!
じゃあ、いつものトコで待ち合わせねっ!
…楽しみ、だよ」
じゃあね、と…通話を終えた、刹那。
宿ったばかりのしあわせを噛み締めるように、アカネは携帯を両手で抱き締めると…それに唇を宛てがう。
「えへへ、デートだぁ…。
ユイにメイクと、カレンにヘアアレンジ頼まなきゃあ♪」
そのまま授業に出る気はしないのか、アカネの足が向かう先は、教室とは正反対の方向で。
屋上にでも向かおうかと、思考を巡らせていた…矢先。
「…あれ?
ツカサ?」
「!
アカネ…」
…神は、なんて意地悪なのだろうか。
鷺沼や黒崎…そして、アカネから逃れるために、教室を飛び出したというのに…
今、一番逢いたくなかった人物に、こうやって鉢合わせするなんて…。
「よ、よォ。
偶然だな」
「?
何キョどってんの?
ツカサらしくない」
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