01・浅倉 アカネの場合

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「…ばっ…」 「…『ば』?」 「バーカッッ!!」 そう言葉を吐き捨て、顔を茹でダコのように真っ赤に染めながら、ツカサは勢い良く教室の外へ飛び出して行った。 「『バーカ』って… 今どき小学生でも使わないわよ、そんな捨て台詞」 「ですねぇ…」 …不意。 カレンの表情が、神妙めいたものとなる。 「…でも、大丈夫でしょうかぁ…アカネちゃん。 やっぱり、『ユズルくん』に騙されてるんじゃ…」 「…しょうがないじゃない、あの子が私たちの話を聞かないんだもの。 …でも…」 ------------ 「うん、…うん! じゃあ、いつものトコで待ち合わせねっ! …楽しみ、だよ」 じゃあね、と…通話を終えた、刹那。 宿ったばかりのしあわせを噛み締めるように、アカネは携帯を両手で抱き締めると…それに唇を宛てがう。 「えへへ、デートだぁ…。 ユイにメイクと、カレンにヘアアレンジ頼まなきゃあ♪」 そのまま授業に出る気はしないのか、アカネの足が向かう先は、教室とは正反対の方向で。 屋上にでも向かおうかと、思考を巡らせていた…矢先。 「…あれ? ツカサ?」 「! アカネ…」 …神は、なんて意地悪なのだろうか。 鷺沼や黒崎…そして、アカネから逃れるために、教室を飛び出したというのに… 今、一番逢いたくなかった人物に、こうやって鉢合わせするなんて…。 「よ、よォ。 偶然だな」 「? 何キョどってんの? ツカサらしくない」
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