01・浅倉 アカネの場合

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「、オレらしいって何だよ…」 「? ツカサ?」 いつも自分をからかってきたり、『バカ』だの『アホ』だの、何かしら罵声を浴びせてくる幼なじみ。 幼稚園の頃から、ずっと一緒だった。 なのに、こんな表情をしているツカサは…初めて見る。 「…何でもねェ。 オレはサボるから、お前はちゃんと授業出ろよ」 「え、あ…ツカサ?!」 それきり、自分と目を合わせることなく…走って屋上に向かっていくツカサ。 アカネは、その背中を見送ることしか出来ず…。 「…まだユズルくんのこと、邪険に思ってるのかな」 ---------- ほんの数週間前に、ユイとカレンと遊びに行ったとき。 あたしは、『ユズルくん』と出会った。 ユイとカレンがトイレに行ってる間、あたしが飲み物を買いに自動販売機に行くと… 『ねぇ、君一人? 名前は?』 『…え?』 いわゆる「ナンパ」に遭遇したのは…実は、これが初めてだったワケで。 だから、あたしは舞い上がってしまったのかもしれない…。 『あ、あたしっ…アカネって言います! あの、高校生で…っ』 『へぇ、高校生? 実は僕もなんだ。 ドコの高校なの?』 さらさらの髪の毛に、素敵な笑顔。 話してると楽しくて、…あたしの心は、不覚にも揺らいでしまった。 『ふふ、顔が真っ赤だよ? …可愛いね』 『え゛ッ?! か、かわ…っ?!』 そして何より… 「可愛い」なんて、誰にも言われたことなかったから。
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