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「、オレらしいって何だよ…」
「?
ツカサ?」
いつも自分をからかってきたり、『バカ』だの『アホ』だの、何かしら罵声を浴びせてくる幼なじみ。
幼稚園の頃から、ずっと一緒だった。
なのに、こんな表情をしているツカサは…初めて見る。
「…何でもねェ。
オレはサボるから、お前はちゃんと授業出ろよ」
「え、あ…ツカサ?!」
それきり、自分と目を合わせることなく…走って屋上に向かっていくツカサ。
アカネは、その背中を見送ることしか出来ず…。
「…まだユズルくんのこと、邪険に思ってるのかな」
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ほんの数週間前に、ユイとカレンと遊びに行ったとき。
あたしは、『ユズルくん』と出会った。
ユイとカレンがトイレに行ってる間、あたしが飲み物を買いに自動販売機に行くと…
『ねぇ、君一人?
名前は?』
『…え?』
いわゆる「ナンパ」に遭遇したのは…実は、これが初めてだったワケで。
だから、あたしは舞い上がってしまったのかもしれない…。
『あ、あたしっ…アカネって言います!
あの、高校生で…っ』
『へぇ、高校生?
実は僕もなんだ。
ドコの高校なの?』
さらさらの髪の毛に、素敵な笑顔。
話してると楽しくて、…あたしの心は、不覚にも揺らいでしまった。
『ふふ、顔が真っ赤だよ?
…可愛いね』
『え゛ッ?!
か、かわ…っ?!』
そして何より…
「可愛い」なんて、誰にも言われたことなかったから。
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