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幸い周りに誰もいなかったからよかった。
いや……誰かいてくれたほうがよかった。
二人きりにならなければ、僕はきっとあんなことはしなかっただろう。
「うっ……く……うう……」
嗚咽を漏らしながら泣きじゃくる。それが余計に僕を苛立たせた。
嫌いじゃない。でも、恋愛として好きじゃない。
「……うっ……」
今までの関係でよかったのに。
今までの生活で、僕は十分幸せだったのに。
君はそれでは足りなかったのか?
「うう……っ」
一瞬記憶が飛んだ気がする。でもそんなことはどうでもいい。
今は目の前のこいつを黙らせなくては。
「……?何を持っているの?」
……何故だろう。何も感じない。体が勝手に動いていく。不思議だ。
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