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「新也!帰ろうよ」
「ん」
友達の大輝に呼ばれて僕は支度を始める。
高等学校の校舎は中学校に比べて構造が複雑なもので、半年も通うのに未だに迷う。
だから大輝が必要だった。道案内をしてくれる彼が必要だった。
大輝もそれに嫌がる様子もなく、僕と一緒にいてくれる。
僕たちはカバンを背負い込んで歩き出した。
「今日の一時間目は数学だったんだけどいきなりテストを返されて困ったよ」
「ああ、今回のできはよくなかったんだろ?」
「いつも通りだめだよ……」
会話をしながら廊下を歩く。彼との会話はいつも尽きない。
どうでもいいような話題から結構真剣な話しまで。
大輝とは小学校のときから同じ学校に通っていたが、出会ったときからいつも一緒で互いに考えることを把握していた。
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