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「はははっ。照れてるんだろ?」
肘でつついて僕をからかっていると生徒玄関にたどり着いた。
今時高校では珍しく、ここでは外靴がさらけ出してある。
下駄箱の扉が無いのだ。だから間違っても女子が男子にラブレターを入れることは無い。
他の生徒に見つかって格好のネタになってしまうからだ。
これはその対策なのかもしれない。
「最近寒くなってきたなあ」
大輝が靴を履き替えながらそんなことを呟いた。
たしかにこの頃肌寒くなってきたと感じる。
もう十一月だ。そろそろマフラーも必要かもしれない。
僕は大輝の呟きに何も答えなかった。とくにしゃべる必要もなかったので無視をした。
揺れる電車の中。降りる駅は終盤。僕たちの家は学校から少々離れていて、山のほうにあった。
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