1 日常

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「はははっ。照れてるんだろ?」 肘でつついて僕をからかっていると生徒玄関にたどり着いた。 今時高校では珍しく、ここでは外靴がさらけ出してある。 下駄箱の扉が無いのだ。だから間違っても女子が男子にラブレターを入れることは無い。 他の生徒に見つかって格好のネタになってしまうからだ。 これはその対策なのかもしれない。 「最近寒くなってきたなあ」 大輝が靴を履き替えながらそんなことを呟いた。 たしかにこの頃肌寒くなってきたと感じる。 もう十一月だ。そろそろマフラーも必要かもしれない。 僕は大輝の呟きに何も答えなかった。とくにしゃべる必要もなかったので無視をした。 揺れる電車の中。降りる駅は終盤。僕たちの家は学校から少々離れていて、山のほうにあった。
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