12人が本棚に入れています
本棚に追加
/60ページ
毎年毎年この季節になると、街のあちらこちらでイチャイチャしてるバカップルどもが嫌でも目につく。
街もそんなバカップル達を後押しするかの様に、毎年馬鹿みたいに電気代がかかりそうなイルミネーションに彩られる。
敢えて言おう、馬鹿であると。
「朱鳥、アンタまたひがんでない?」
ひがみ? そんな感情持ち合わせていませんよ。
だってアタシの心は純白そのものなんですから。
だからこの世からカップルなんか消えてくれ、切に願うよ。
「へ、妬んでなんかいませんよ。新婚ホヤホヤの美沙さん」
「全力で妬んでるじゃねえか」
今更だけど、アタシの名前は里田朱鳥(さとだあすか)、まだまだお肌ツヤツヤの二八歳。
自分で言うのもなんだけど、毎日手入れを欠かさないお肌はまだ二十歳前後の潤いと煌めきを残している。
二重の瞼に小さい鼻、グラスの入った口紅が施されている唇はどんなに歳を重ねても潤いを失わない。
更に自慢である黒髪は腰の辺りまで伸び、幼さ残る顔とは逆に大人らしさを遺憾無く引き出している。
最初のコメントを投稿しよう!