一人ぼっちのクリスマス

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   そんな事を考えてると、不意に流行りの曲が流れ出す。  若いカップルに人気のその曲の出どころは、三十路前の美沙さんの携帯だった。   「あ、朱鳥悪い! 義母さん来るらしいから先に帰るわ」   「はいはい。んじゃ、会計よろしくー」    慌てて帰ろうとする美沙に会計の紙を手渡す。  そして突き返された。   「今持ち合わせがないんだよ。また今度奢るからさ!」   「はい!? あ、ちょ――美沙さーん!?」    呼び止める私の声を無視して店を出ていく美沙。  うん、本気で殴りたい。  てかアンタが呼び出したくせに持ち合わせないってどういう事なんですか!  元々私に奢らす気だったとしか思えねえよ!    募るものは不満だけで、失うものは時間と金。  なんで私がと思いつつ、コーヒーとケーキ代を払って店を出た。
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