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違う、違う!
こんな事言うつもりないのに、なんで私ってこうなのよ!
「い、言われなくても居なくなりますよーだ!」
そう言いながら舌を見せるアイツを、何度も何度も叩いた。
でもその度に胸が痛くなって、涙が出そうになった。
「馬鹿馬鹿馬鹿!」
馬鹿なのは私だ。
いつも近くに居てくれたのに、素直になれずに怒鳴るばかり。
「朱鳥……?」
アイツが私の名を呼んだ時、私は大粒の涙を流していた。
なんで涙が出てるのか――その理由も分かってるくせに、それでもまだ本音が言えない。
「もうやだ……」
何度思っただろう。
素直な人間になりたいって。
何度想っただろう。
アイツに自分の気持ちを伝えたいって。
アイツを想えば想うほど、どうしようもなく好きだって気付けたのに、なにかが邪魔して言葉に出来ない。
そんな自分が、どうしようもなく嫌いだった。
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