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嘘つきを見付けると香野は簡単に言ったが、それは私や高田さんにとっては難しい事であった。資料を見ても全員が嘘を言っているように感じてしまう。
「そういえば」
香野は資料から目を離すことなく不意に話しだした。
「そういえば事情聴取をしたのは誰なのです?」
「偶然にも私なんです」
「高田さんがですか、これはますます都合がいい。では少なからず覚えている事もあるでしょう?」
「ええ、まだ覚えています」
「そうですか、では気になる人がいたら質問する事にします」
そう言うと香野は資料をまじまじと見始めた。
私も香野に負けじと資料を睨みつけた。
3人で資料を見始めて15分程たった時には、香野は資料の中から数人に目星をつけていた。私と高田さんは2、3人ほど怪しい人物を見付けていた。
そして一通り資料を見終わると、香野は不思議な顔つきになり、笑顔になったのだ。
「さて、高田さんまず彼についての質問です」
香野は資料の中にある男の名前を指さして言った。
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