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香野と大野さんが警察署をあとにしてから私はますます緊張していた。
何故なら香野の計画で私は強盗団の仲間と接触する事になったからだ。まさに失敗は許されない事なのだ。
「高田くん、名探偵はもうお帰りかな?」
不意に上司が話しかけてきた。
「ええ、ついさっき帰りましたよ」
「そうかいそうかい。で、名探偵は次は紳士強盗団の調査かい?」
「すいませんが何も言えないんですよ」
「まあ、そんな事だろうと思ったよ。だが私も刑事の端くれ、名探偵が今どんな事件の調査をしているくらいはわかるさ。
高田君、君は名探偵に力を貸してあげなさい。彼ならきっと強盗団を追い詰められる」
「はい、わかりました」
上司の後押しで私は香野の計画に集中できるようになった。
実はこの警察署では香野は有名なのだ。たまに現れては事件をたやすく解決してみせてしまう。そうしているうちに警察署では香野の事を名探偵と呼ぶようになったのだ。
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