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私は双眼鏡を他のホテルやマンションや道にとまっている車や行き交う人物にも向けてみた。
しかし、これといって目につくような怪しい人物はいない。私はいったん双眼鏡を目から離し広い視野で周りを見渡してみた。今まで目の前にいた人たちがアリのように小さく見えた。
私は買っておいたカンコ―ヒ―を飲みながら、また双眼鏡を目につけた。
双眼鏡に写る3日前の男。名前は“伊藤 優太”3回目に強盗団に襲われた銀行の副支店長をしている。前科もなく経歴も優秀な彼が何故に強盗団などに手を貸したのだろうか?まあ、それは彼に接触が成功すればおのずとわかってくる事だろう。
私はタバコを吸おうと双眼鏡から目を離しタバコをくわえて火をつけて、大きく煙りを吐き出した。そしてまた双眼鏡を目にあてると、少しずれて彼の右隣の部屋をのぞいてしまった。その部屋は殺風景だった。男が一人でパソコンに向かっているように見えた。男はこちらに背を向けているために顔は見えない。
私は何故か隣の部屋の男が気になってしまった。
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