動きだす

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紳士強盗団が2ヶ月前に現れた時の香野は、その強盗団にあまり興味をしめさなかった。 香野は多人数で銀行を襲う場合に手掛かりは必ず残り、あっさりと警察に捕まると思っていたのである。だが香野の予想は外れ一ヶ月前に紳士強盗団により2回目の犯行がおこなわれた。その時に香野は少し驚いたものも、やはりあまり興味を示さなかった。 そして3日前におきた紳士強盗団による3回目の犯行の時に、今までの薄いリアクションが嘘のように興味を示し、独自に事件を調べ始めたのである。 だが香野も警察と同じように手掛かりがみつからないでいたのだ。 「彼らの中にはとても頭のいい人間がいるんだね。その頭のいい人間がリ―ダ―になっているのだろう。そして他のメンバーはリ―ダ―に絶対服従なのだろう。でなければ今回のような芸当をたやすくできないでしょう。 それはまさに軍のように統率されているのですよ。しかも警察が発表した情報によると強盗団はかなりの武装をしている。外国の特殊部隊が持つような高性能な自動小銃をです。その事からしても彼らはただ者ではない事が解る。 だが集団になればなるほどミスや失敗はつきもの。彼らは失敗などしていないつもりでも、今回は失敗があったんだよ。 それが何かわかるかい大野君」 いきなり私の名前を呼んだ香野は嬉しそうに笑いながら新聞を見ていた。
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