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小野田さんはなんともいいようのない表情になった。
「そんな単純な方法では強盗団に気付かれてしまうのではないですかね?」
「小野田さん、強盗団は銀行を監視しているはずです。だったらそれを逆手にとればいい。
銀行に出入りする清掃業者は決まっています。そして清掃をする人物も決まっているわけです。ですから、いつもの業者のいつもの人物が銀行に掃除に入るのは不思議な事ではないでしょう?これならば強盗団の監視も気付かないでしょうし、銀行の中にいる強盗団の仲間も気付く事はないわけです。それにあまり時間もかけられないわけですから、これが最善の策だと思いますよ」
「そうですね、納得しました」
小野田さんがそう言うと香野は少し笑顔になってから、また考えこんだ。
小野田さんは地図を見ながら独り言のように呟きはじめた。
「次は強盗団をどうやって捕まえるかだな…。銀行に入ってから捕まえるべきだろうか。いや、それだと銀行員を人質にとられては厄介だ。それならば銀行から出たところを狙うほうがいいのか?」
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