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「2階に部屋を用意したのでさっそく行きましょう」
私達は高田さんの後ろを歩き2階の奥にあるひとけのない部屋へと入った。
「香野さんが紳士強盗団を調べているとは、とても心強いですよ」
そう言いながら高田は資料をテ―ブルに並べ始めた。
「心強く感じてくれているのなら嬉しいですね。
ではさっそく資料を見てみましょう」
そう言うと香野は資料に目を通し始めた。この時に私は何故に香野が警察署に来たのかがわかった。
香野が高田さんに頼んで用意してもらった資料とは、銀行員達の資料だったのだ。
事件がおきた場合は関係者から調書を取るのが普通だ。今見ているのがまさに銀行員達の調書なのだ。つまりこの調書を見て怪しい銀行員の目星をつけるわけなのである。これならば本人に会わずして強盗団の一味が誰だかまで解るかもしれない。そして強盗団に私達が動いている事もばれずにすむわけだ。
「高田さんも強盗団の捜査をしているのですか?」
香野が高田にそう質問をした。
「ええ、捜査をしていますよ。ですが強盗団のしっかりとした情報は殆どないのです。犯行はもう3回目だと言うのに、今だに情報が混乱しているのです」
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