7人が本棚に入れています
本棚に追加
「お。ひなたぼっこか? おまえ、いいな。気楽そうで。」
ん?なんだ、こいつ。うるさい男だな
「一日中、好きなことばっかしてんだろ?
好きなもん食って
好きなとこで寝て
好き勝手に散歩して
あ~ぁ。
おまえ、いいなぁ。」
? こいつ、本気で言ってんのか。
好きなもんどころか、鼠の一匹すら見つからなくて…もう3日雨水だけだぞ。
好きなとこで寝る?だいぶ寒くなってきて、凍え死ぬかもしれないのに…外で寝たいのか?いかれてる。
はぁ?散歩だ?こいつらは縄張りがないから、こんなこと言えんだな。
「俺さ、これから下げたくない頭下げに行かなきゃなんない訳。
それが仕事だからさ。
おまえは働かなくてもいいし、なんか自由だよな。
あ~、俺も猫になりてえぇ」
昨日の喧嘩のせいで、大事な毛皮に傷を負っちまったぜ。ちゃんと舐めとかなきゃな…
お前の軽い頭下げるだけなんだろ?なにが嫌なんだ?俺たちは時に命がけで、縄張りを守って戦うぞ。どっちかが降参するまでな。
おまえはいいな、お気楽でw
「うわっ!いて。
なんで引っ掻くんだよ、ちょっと触ろうとしただけじゃんか…
ちぇっ。やっぱついてねー。」
俺は毛を逆立て威嚇した!
なんだこいつ!気安く触るんじゃねえ!
ふぅ、殴られるかと思ったぜ。
人間は危険だからな。俺たちの仲間が攫われたり、切り刻まれたりするからな。
こいつがいなくなるまで、ここに隠れるか。
「猫にまで引っ掻かれて、カミサンにも噛み付かれて。
たまには俺も、猫みたいにのんびりしたいもんだ。」
「はぁ。
頭下げに行くか…。」
行ったか。
あいつ気楽でいいなぁ。食うもんも、寝るとこも、家族も、ちゃんとあるのにな。
俺のなにが羨しいんだ? 不思議な生き物だな。
まぁ俺も、ちょっと人間が羨ましいぜ。
さてと。
自由に暮らすためにも、見回りに行くか。
そろそろ飯にありつかんと、動けなくなっちまうからな。
なんて 不自由なんだ
最初のコメントを投稿しよう!