6th Attack Pinch Runner

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その後もR32は華蓮の頭を押さえつつ先行し、華蓮も負けじとR32のテールをプッシュし続けた。 そして、ゴールまで間もないトンネルの中。 華蓮は密かに決意を決めていた。 (やっぱりアレを使うしかありませんね。 クルマに対する負担を考えたら出来れば使いたくはありませんでしたけど。) 華蓮の右手が『アレ』のメインスイッチであるトグルスイッチを弾いた後、人差し指がステアリングの裏にあるボタンを確かめるようにまさぐった。 トグルスイッチの頭にグリーンのLEDが光り、スタンバイが完了した事を示した。 (使うのは3つ先のコーナーの先の最後のストレート。) 華蓮の眼が狙いを定めるスナイパーのように前を見据える。 R32とGT-FOURがまるで連結されているかのように連なってトンネルを脱出し、右コーナーを抜ける。 (1つ。) 華蓮がまるでカウントダウンのように呟く。 そして今度は左コーナーを抜ける。 (2つ。) そう呟きながら華蓮はステアリングを強く握り直す。 そして最後の右コーナーを抜けた時、華蓮は一気に勝負に出た。
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