6th Attack Pinch Runner

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「えいっ!!」 そう言うと華蓮はGT-FOURをR32の右に滑り込ませると、ステアリングのスイッチを押し込んだ。 途端にGT-FOURのブーストメーターの針が一気に跳ね上がり、それに連動するかのようにタコメーターとスピードメーターの針も跳ね上がる。 華蓮が最後の切り札として隠し持っていた『ソレ』はスクランブルブーストだった。 それは一時的にターボのブースト圧を高め、エンジンに爆発的なパワーを与える物であるが、それはエンジンに負担を強いる両刃の剣でもある。 華蓮は一気にR32を抜き去り、ゴールラインを駆け抜けた。 R32の横を駆け抜ける瞬間、華蓮がR32のドライバ-の顔を盗み見すると、目を見開き、口がまさに「あんぐり」と言った具合に開いていた。 GT-FOURのゴールを見届けたスターターが芹華にGOサインを出し、ZZT231がパーキングを飛び出した。 そして、R32もゴールラインを通過し、S15もコースに躍り出る。 一方、華蓮はゴールラインの少し先で愛機を止め、エンジンが持ちこたえた事に安堵の溜め息を吐いていた。 またもう一方のR32のドライバ-は悔しげに顔を歪め、ステアリングにその悔しさをぶつけた。 こうして、華蓮とR32の女の戦いは幕を閉じ、同時に芹華とS15の戦いの火蓋が切って落とされた。
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