プロローグ

4/4
前へ
/146ページ
次へ
ストレートを走っていた民那の目に左高速コーナーの入り口が映った。すると、リズムを取っていた指の動きがふと収まり、ステアリングをギュと握り直した。 「さて、少し遊んでみようかな。」 民那は呟くとシフトダウンさせ、2速に入れた。その瞬間、VTECが高速カムに切り替わり、エキゾーストノートが甲高いものに変わった。更に左コーナーに少しオーバー気味のスピードで進入すると、左足でブレーキペダルをチョンと踏み、軽快にテールをスライドさせクリアした。 「ふふーん、上手く行った。」 民那はそう呟くと満足そうに微笑んだ。 ただし、この走りがこれから始まる物語のプレリュードになる事は民那は知るよしもなかった。
/146ページ

最初のコメントを投稿しよう!

297人が本棚に入れています
本棚に追加