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所変わってここは桜田峠の駐車場。そこの自動販売機コーナーの前に黒いランサーエボリューションⅣが停まっている。その運転席で女性が缶コーヒーを飲みながら、左手にはめたGショックを眺めて呟いた。
「遅いなー。」
すると、駐車場に一台のクルマが入ってきてエボⅣの後ろに停まった。
そして、そのクルマのドアが開き、民那が降りて来てエボⅣの助手席に乗り込んだ。
「ゴメン、真紀、待った?」
エボⅣの女性は三井真紀。民那の親友である。
真紀は冗談混じりに
「待ったよぉー。」
と呟きながら、予め買っておいた缶コーヒーを民那に渡した。
「あっ、サンキュー。」
民那は真紀に礼を言いながら缶コーヒーのプルトップを開けて一口飲んだ。
そして、缶コーヒーを飲み終えると2台で軽く走る事にした。
民那のEG6は、上りでは、FFでNAのため、4WDでターボのエボⅣに対して少し遅れを取ったが、下りでは持ち前の軽さとレスポンスの良さを武器にエボⅣに喰らい付く事が出来た。
そんな民那達を見つめている者がいた。ただし、その視線は敵意を含んでいた。
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