プロローグ

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…さて放課後。 ん?展開が早い? 何が悲しくてあんな退屈な授業の説明をせにゃならんのだ。 どのクラブにも属さない、いわゆる帰宅部な俺は、登校時のそれとは比べものにならない程軽い足どりで帰路についた。 低血圧?誰の事やら。 今日は俺にとって特別な日なのだ。自分がこの世に生を受けた日――誕生日である。 ふといつかテレビで見た、“お母さんが産んでくれたおかげだから”と、自分の誕生日に母にプレゼントを贈ったという少年の話を思い出し、足を止める。 彼のその後を知りたいね。単なるマザコンなのか、それとも募金箱に小銭以外のお金を差し入れる位いい人なのかを是非知りたい。…まあ俺の考えとしてはどちらでもない、テレビ用の行動だと思うがね。 何気なくポケットに手を入れると財布が入っていた。この間小遣いをもらったところだし、金もいくらかあるはずだ。 ――たっ…たまたま財布がポケットに入ってただけなんだからねっ!なんていう中途半端なツンデレな台詞を頭に思い浮かべて、すぐに掻き消した。 キモいぞ、俺。    
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