プロローグ

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結局、かのマザコン少年を見習ってみる事にした俺は近くの商店街まで足を運んだ。 流石に寂れた商店街だ。平日のこんな時間に高校生が制服のまま歩いているのが余程珍しいのか、八百屋のおばちゃんに熱烈な視線を送られつつ、辺りの散策を始める。 だが、気ままに来てみたはいいものの、何を買えばいいのか分からずに商店街をさ迷い歩いた挙げ句、最後は結局定番の花に落ち着いた。俺の20分を返せ。 面倒な事はしない主義だが、たまには親孝行もいいものだ。現時点では完全な自己満足でしかないこの行為によって俺は何故か清々しい気分に浸っていた。 こんな気分になったのは、小学生の頃5000円を拾って交番に届けた時(友達が一緒だったから仕方なかった)、はたまた目の前でご老人が札束を落としていき、それを追いかけて渡してあげた(正直これは後悔した)時以来かもしれない。    
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