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・・・そうそう、一つ説明しなくてはいけないわね。
我が叢神家の歴史を。
大和国宇陀郡の隠伏神社祠官たる叢神家は、人の生き血を糧とし生きる吸血鬼の一族である。
しかし、一方では生業としていた呪術の能力を見込まれ、千年も昔から従五位下に叙爵され帝に仕えてきた。
そして今から六十年前、東京遷都の折りには陛下に随行することとなり、この地に移り住んだ。
因みに華族制度が定められた時には勲功により子爵の位を賜った。
現在は流石に拝み屋として口に糊するのは無理であるから、今は亡き父が興した(岩崎嘉衛門・安田与四郎・原田源吾ら起業を志した明治の若人らに私財を投じた、というのが実態であるが)競売会社の名ばかりの社長の座に就き(さながら王朝時代の遥任国司の如くに)株式の運用や投資、古里から献じられる小作料といった不労所得によって額に汗せずして有閑の徒として贅を尽くした遊興に時を浪費する貴族的退廃の内に日々を過ごしているのである。
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