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健太郎達は、駅前の居酒屋に到着していた。
武田の彼女は、なぜか友達を2人ほど連れてきている。
健太郎はこそ声で、武田に問い掛けた。
「どういう事だよ!友達も連れてくるなんて聞いてないぞ!」
「まぁまぁ。女も多い方が意見も豊富で助かるじゃないですか。」
本日、数えきれない程ため息をついた健太郎だが、この時のため息が1番大きかった。
返される言葉がごもっともで、自分の意見が全部間違えている様に思えたし、更に樹里に嘘をついてまで来た場所に、別の女性がいる事が罪悪感を増長させた。
「そんな顔するなって!樹里ちゃんへのプロポーズの為なんだから。」
内海は、軽く笑いながら健太郎の肩を叩いた。
「だって…3対3だし…これ端から見たら合コンだろ…」
「え~。三山さん結婚するのに私達の事そんな目で見てるんですかあ~?」
武田の彼女がそういうと、その友達もキャピキャピと甲高い声をだした。
普通は、こんな声を黄色い声なんて表現するんだろうが、健太郎にとっては、どす黒い危険な声に聞こえていた。
「さて、プロポーズプランの細かい部分をつめていきますか!」
内海の仕切りの後、健太郎以外の全員が、面白そうに「お~う」と返事をする。
居酒屋内に響く笑い声が、鼓膜を刺激して、健太郎は不安を募らせた。
気が付くと、また1つ大きなため息をついていた。
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