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すぐ、目の前の座敷席に健太郎がいる。
同じ席に部長はいなく、いるのは内海と武田だ。
そして、全く見た事もない女の子が3人。
樹里は一目で合コンだと思った。
嘘までついて、合コンなんかに行っていたのだと。
それ以外に考えられない。
許せない気持ちが沸き上がるとともに、自然と涙がこぼれた。
裏切られた。
なんで、あんな人を好きになったのだろう。
なんで、あんな人と付き合ったのだろう。
なんで、あんな人を信じてたのだろう。
なんで、あんな人と結婚を考えたのだろう。
自分が情けなかった。
辛いを通り越して、痛かった。
胸がグッと締め付けられ、その度に涙が落ちる。
自分では合コンくらいの裏切りなら何ともないと思っていたのに、想像以上に辛い。
結婚と言う明るい未来が、ボロボロと音をたてて崩れてく気がする。
耐えられなくなり、樹里は急いでその場を離れた。
樹里は自宅まで、自分でも信じられない程涙を流しながら帰った。
「お待たせしました。お新香盛り合わせです。」
居酒屋の店員が、テーブルに小鉢を置く。
コトッと音とともに、小鉢は真っ二つに割れた。
「うわっ!縁起悪っ!三山さん振られるんじゃないっすか?あははは。」
武田が茶化す様に言う。
「てめー!恐ろしい事言うな!」
健太郎は武田の頭に腕を回し、ヘッドロックをかける。
居酒屋内は笑い声に包まれた。
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