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言葉のフレーズだけが書き殴ってあり、一目では意味がわからない。
分かりやすくまとめると、プロポーズプランはこうだ…
祭日である24日の夜に、「忘れ物があるから」と、2人が出会った『KENZENフーズ』に行く。
裏口の鍵を警備員の桃さんに開けてもらい、一緒にエレベーターに乗り込む。
途中で、桃さんにエレベーターを止めてもらう。
「肩車でエレベーターの上にあがろう」と言って、樹里を肩車する。
天井のはずした部分の縁に指輪を用意しておき、樹里に気付かせる。
そのまま樹里を肩車からおろし「結婚してくれ」と言う。
単純で間違えようのないプランだと思った。
もっと凝ったプロポーズをしたかったが、内海に「当日、間違わずにできるのか!?」と聞かれ、不安になってしまったのだ。
止むを得ない理由だ。
このプランには、必要不可欠な物がある。
婚約指輪だ。
電車をおりた健太郎は、その足で銀行に向かった。
貯金から給料3ヵ月分をおろし、駅前にある宝石店に向う。
何度か下見をしていた為、買う指輪は決まっていた。
小さいダイヤモンドが2つ、埋め込まれている指輪だ。
この形の指輪に似た指輪を、自分の母がしていたのだ。
まだ子供の自分に「婚約指輪なの」と自慢しながら。
そのうれしそうな表情は今でも覚えている。
指輪は買った。
後戻りは出来ない。
そう頭の中で繰り返しながら、自分の家へと歩きだした。
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