8,ずれ

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言葉のフレーズだけが書き殴ってあり、一目では意味がわからない。 分かりやすくまとめると、プロポーズプランはこうだ… 祭日である24日の夜に、「忘れ物があるから」と、2人が出会った『KENZENフーズ』に行く。 裏口の鍵を警備員の桃さんに開けてもらい、一緒にエレベーターに乗り込む。 途中で、桃さんにエレベーターを止めてもらう。 「肩車でエレベーターの上にあがろう」と言って、樹里を肩車する。 天井のはずした部分の縁に指輪を用意しておき、樹里に気付かせる。 そのまま樹里を肩車からおろし「結婚してくれ」と言う。 単純で間違えようのないプランだと思った。 もっと凝ったプロポーズをしたかったが、内海に「当日、間違わずにできるのか!?」と聞かれ、不安になってしまったのだ。 止むを得ない理由だ。 このプランには、必要不可欠な物がある。 婚約指輪だ。 電車をおりた健太郎は、その足で銀行に向かった。 貯金から給料3ヵ月分をおろし、駅前にある宝石店に向う。 何度か下見をしていた為、買う指輪は決まっていた。 小さいダイヤモンドが2つ、埋め込まれている指輪だ。 この形の指輪に似た指輪を、自分の母がしていたのだ。 まだ子供の自分に「婚約指輪なの」と自慢しながら。 そのうれしそうな表情は今でも覚えている。 指輪は買った。 後戻りは出来ない。 そう頭の中で繰り返しながら、自分の家へと歩きだした。
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