9,プロポーズ

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 数日間会社を休んだ健太郎は、金曜日になってやっと出勤する事ができた。 4日間の間に、内海と武田が見舞いに来た。 2人は、何度も健太郎に頭を下げた。 失恋をすると、辛さからか人のせいにしたくなる事が多い。 しかし、自分の非を認めない限り、そこに成長はなく同じ事を繰り返す。 最初は、健太郎自身も2人のせいだと思っていたが、結局嘘をついたのは自分なのだと諦めた。 そうしなければ、前に進めないと知っていたからだ。 会社に出勤したのだって、いつまでも殻に籠もってるワケにもいかないからだ。 何かきっかけが必要だったし、内海と武田の罪悪感も取り除いてあげなければならなかった。 「もう…大丈夫…なのか?」 内海は申し訳なさそうに問い掛ける。 「ああ。大丈夫だよ。」 「あの…本当すいませんでした。」 武田が頭を下げる。 「気にするなって。俺の性格じゃあなるべくしてなった結果だ。」 そうは言っても、といった顔で内海と武田は俯いた。 健太郎は、自分が辛がっている姿を見せてはいけないと笑顔を作ったが、その笑顔は内海達を余計に苦しめた。 「三山君!」 部長の怒鳴り声にも似た呼び声がオフィス内に響く。 「はい。」 「君の彼女が働く出版社は?」 部長は焦ったように、早口で問い掛ける。 「いや…彼女とは…」 「いいから!どこだ!?」 健太郎の言葉を遮り、部長は怒鳴り散らす。 「栄光出版ですけど…」 「やはり…。」 「あの…何か?」 部長は雑誌を、健太郎に渡すと口を開いた。 「今日、栄光出版の雑誌から我が社の『KENZEN冷パスタ』の中に有害保存料が混ざっていた疑いをスッパ抜かれた。」
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