38人が本棚に入れています
本棚に追加
だだっ広い海を割って船は進む。
ミツル「ほわぁ~すごい。もうトウカがあんなに小さく。」
ハギ「ほぅ。船に乗るのは初めてかな?」
ミツル「いえ、こっちに越してきた時に乗ったんですが…ずっと体調崩して寝ていたからよくわからなかったんです。」
ハギ「はっはっはっ。それじゃこのデッキから浴びる潮風は格別じゃろう。海はいいぞぉ。」
それからハギさんの現役時代の話を聞きながら船は進み目的地のムロタウンに着いた。
ハギ「さ、着いたよ。どれワシもちぃとばかしムロにゃあ用がある。また後で会うとしようや。」
そう言ってハギさんは町…というか村のほうへ歩いていった。
小さな島につくられた静かな漁村といった感じのところだ。
ミツル「ん、ん~。さてと!目的のムロジムにいかないと!」
ボクは浜辺に残る足跡を振り向きざまに眺めながら、ムロタウンに向かい歩きだした。
村の南端に大きな建物。間違いない、あれがムロジムだ。
ボクは中に入り受付を済ませた。
お世辞にもそんなに人がいるとは言えないこの村だけどジムの中には結構な人数の挑戦者がずららら~っと。
あ~あ。順番が回ってくるのはだいぶ後になりそうかなぁ。
一時間ほどボクはジムのロビーに腰掛けて待っていた。
すると受付のお姉さんが申し訳なさそうにこう言ってきた。
受付嬢「本日の挑戦はこれにて打ち切らせていただきました。現在お待ちのお客様には整理券をお渡しいたしますので……また明日お越しください。誠に申し訳ありません。間もなくジムが閉館の時間となりますので……」
ミツル「え~~?そりゃないよぉ。はぁ…」
外に出るともう日は落ちかけていた。確かにボクが来た時間も遅かったのかも。仕方ないなぁ。また明日……あ、そうだ。ハギさんは?っ―――――いたっ!?
誰かがぶつかってきたらしく、ボクは砂浜に倒れた。
ミツル「ぅう……痛い……一体何が」
見上げるとそこにはえらく落ち着きの無いハギさんが見えた。
ハギ「おぉ!おぉお!ミツルくん!ミツルくんや!!大変なんじゃ!!ピーコちゃんが…ピーコちゃんが!」
ミツル「へ?」
最初のコメントを投稿しよう!